看護師が子育てと仕事を両立する方法。短時間勤務制度・院内保育・働き方の選択肢を解説

「子供が生まれたら、今の働き方のまま仕事を続けられるだろうか」——これは、多くの看護師が妊娠・出産を機に抱く悩みです。結論としては、育児・介護休業法に基づく短時間勤務制度や、院内保育所・夜勤の調整といった複数の選択肢を組み合わせることで、看護師を続けながら子育てと仕事を両立している方は少なくありません。どの選択肢が合うかは、職場の制度・家族の協力体制・子供の年齢によって変わります。
この記事では、法律で定められた短時間勤務制度の内容、院内保育所・託児所を利用する際に確認しておきたい点、夜勤を減らす働き方の選択肢について、公的な制度情報をもとに整理します。
短時間勤務制度は、法律で事業主に義務づけられた制度
育児・介護休業法第23条第1項により、事業主は3歳未満の子を養育する労働者から申し出があった場合、短時間勤務制度を含む措置を講じる義務があります。短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むものでなければならないと定められています(育児・介護休業法施行規則第74条第1項)。つまり、勤務先が社会保険に加入する病院・クリニックであれば、本人が希望すれば制度の利用自体は権利として認められているということです。
さらに2025年(令和7年)4月1日の法改正で、短時間勤務制度の実施が難しい職場向けの代替措置にテレワーク等が加わりました。また同年10月1日の改正では、3歳から小学校就学前までの子を養育する労働者に向けて、事業主は次の5つの措置のうち2つ以上を選んで講じることが義務づけられています。
- 始業時刻の変更
- テレワーク等(月10日以上)
- 保育施設の設置・運営等
- 養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
- 短時間勤務制度
労働者は、事業主が用意したこれらの措置の中から1つを選んで利用できます。制度の詳細や勤続年数等の対象条件は職場の就業規則によって異なるため、人事・総務担当者に直接確認することをおすすめします。
院内保育所・託児所を利用する前に確認したいこと
院内保育所がある病院であれば、職場復帰後すぐに子供を預けられる点は大きな安心材料です。ただし、利用前には次の点を確認しておくと、復帰後のミスマッチを防ぎやすくなります。
- 開所時間と勤務シフトの整合性:夜勤がある場合、院内保育所が夜間も対応しているか
- 急な発熱時の対応:子供の体調不良時に呼び出し(いわゆる「オンコール」的な連絡)が来る頻度や、その際の対応ルール
- 利用できる年齢・人数の上限:0歳から利用できるか、定員に空きがあるか
- 費用負担:認可外の院内保育所は利用料が病院によって異なる
院内保育所の制度・利用条件は病院ごとに運営方針が異なるため、具体的な内容は転職(入職)前の面接や職場見学で直接確認することが欠かせません。託児所を利用する際に確認すべきポイントについては小さいお子様がいる看護師の方必見!院内の託児所を利用する前に確認するべき3つのポイントでも詳しく解説しています。
夜勤を減らす・なくすという選択肢
子育てとの両立で負担が大きいと感じやすいのが夜勤です。同じ病院内で日勤中心の部署(外来など)へ異動を希望する方法のほか、夜勤のない職場(クリニックの外来、健診センター、訪問看護、産業看護師など)へ転職する方法もあります。それぞれの職場の特徴や、求人票の「日勤のみ」表記だけでは見抜けない注意点については看護師の「夜勤なし」転職。日勤のみで働ける職場の種類と見極め方で整理しています。
なお、夜勤をなくすと夜勤手当分の収入は減ります。収入面への影響については看護師の夜勤手当の相場はいくら?もあわせて参考にしてください。
職場復帰・転職を考えるときに整理しておきたいこと
- 今の職場に短時間勤務制度・代替措置があるか:まずは現職の制度を人事に確認することが最初の一歩です。
- 預け先と勤務先の距離・開所時間:通勤ルートと開所時間が勤務シフトに無理なく収まるかを具体的に確認しましょう。
- 家族の協力体制:同居家族の有無や、パートナーとの勤務シフトの調整可能性によって、選べる働き方の範囲は変わります。
- 今の職場で両立が難しい場合の転職:短時間勤務や夜勤調整が難しい職場であれば、院内保育所がある病院や、夜勤のない職場への転職も選択肢になります。転職エージェントは、求人票だけでは分からない職場ごとの両立実績(時短勤務者の有無や院内保育所の実際の運用)を持っている場合があるため、複数登録して比較してみることをおすすめします。
よくある質問
Q. 短時間勤務制度は、パートやアルバイトでも使えますか?
育児・介護休業法の短時間勤務制度は、一定の条件(3歳未満の子を養育していること等)を満たす労働者が対象で、雇用形態だけで一律に対象外となるわけではありません。ただし、勤続年数などの要件を労使協定で定めている場合があるため、自分の雇用形態・勤続年数で対象になるかは、勤務先の人事担当者に直接確認することをおすすめします。
Q. 短時間勤務制度は子供が何歳まで使えますか?
法律で事業主に義務づけられているのは、子が3歳になる誕生日の前日までです。2025年10月の法改正により、3歳から小学校就学前までの子については、短時間勤務制度を含む5つの措置のうち事業主が2つ以上を用意し、労働者がそのうち1つを選んで利用できる仕組みに変わりました。
Q. 院内保育所がない病院でも、子育てと両立できますか?
院内保育所がなくても、認可保育園・企業主導型保育園・ベビーシッターなど外部の預け先を活用しながら両立している看護師は多くいます。預け先と勤務先の距離・開所時間がシフトに合うかどうかが、職場選びの重要なポイントになります。
Q. 子育てを機に、夜勤のない職場に転職するのはよくある選択ですか?
夜勤の負担を理由に、夜勤のないクリニックや訪問看護等へ転職する看護師は一定数います。ただし夜勤手当分の収入は減るため、短時間勤務制度の利用や院内保育所がある職場への転職など、他の選択肢と比較してから決めることをおすすめします。
この記事の主な情報源
- 育児休業制度特設サイト「法改正のポイント」(厚生労働省)
- 育児・介護休業法第23条第1項、育児・介護休業法施行規則第74条第1項(短時間勤務制度の内容)
制度の対象条件・施行日は法改正により変わることがあるため、最新の内容は厚生労働省の公式ページもあわせてご確認ください。
まとめ
看護師が子育てと仕事を両立する方法は一つではありません。育児・介護休業法に基づく短時間勤務制度の利用、院内保育所・外部の預け先の活用、夜勤を減らす働き方への変更など、複数の選択肢を自分の状況に合わせて組み合わせることが基本になります。まずは今の職場にどんな制度があるかを確認し、両立が難しいと感じた場合は、院内保育所がある病院や夜勤のない職場への転職も選択肢の一つとして検討してみてください。
